オーナー住戸付アパートのリフォーム。
対象となったアパートの一室は、典型的な2DKにのっとってはいるが、その型にはめるために面積配分のバランスを欠いていた。浴室と洗面室が極端に圧縮される一方で、玄関に直結するダイニングは無闇に広く、トイレや浴室から離れて配置されたキッチンは、隣接するオーナー住戸に対して給排水時の音の問題を抱えていた。また、3面採光が可能な住戸であるにもかかわらず、ふたつの和室には、お互いを仕切る収納による閉塞感があった。このリフォームでは、これらの点を改善するだけでなく、この建物のもつポテンシャルを引き出すようなふたつの空間を提案した。
白の空間
収納とキッチンを、洗面室と浴室のまわりにひとかたまりにし、不足していたスペースを補うようにしてつくった空間。収納されるものの大きさと組み込まれる水回りの機器の大きさに、それらを使う人の大きさを足し合わせたものが、この空間の大きさとなる。住戸計画において、使用状況を想定しやすい水回りと収納を、無駄なくコンパクトに計画することで、かぎられたスペースを有効に利用することができる。またこれらの場所では、そこに現れてくるものの量や質がかぎられるため、白の仕上げが生み出す空間の広がりと秩序を保っていくことができる。
木の空間
リビングや寝室といったnLDKで表記される場所は、必要となる広さや配列が住人により異なり、また同じ住人であっても時を経て変化していく。そのように住空間の中でも流動性の高いnLDKに対して、それらの変化を許容する場所としてL字型の空間をつくった。L字型からなる微妙な距離感が、ひとつながりの開放感を持ちながらも、それぞれの行為に合わせて使い分けることができる場所を提供する。また、ラーチ合板の大きな木目で仕上げられた空間は、生活から溢れる予測不可能なあらゆるものを包みこむ。“白の空間”は、“木の空間”を形づくる輪郭であると同時に、“木の空間”は“白の空間”の輪郭でもある。性質の異なるふたつの空間を共存させることで、利便性と流動性を兼ね備えた住居へのリフォームが可能となった。
リフォームしつづける家
このリフォームでは、流動的な“木の空間”とオーナー住戸とを隣接させることで、次のリフォームへと展開するきっかけをつくっている。このきっかけにより、オーナーは家族の変化に合わせて、自己居住スペースの拡張や賃貸スペースへの転用等の調節が可能となり、空間を有効利用することができるようになる。そうすることで、建物は人の流れにあわせて、少しずつ姿を変える“リフォームしつづける家”として生き続けるのではないかと考えた。 |
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